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福岡高等裁判所 平成12年(ラ)301号 決定 2000年12月08日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一  抗告の趣旨

1  原決定を取り消す。

2  福岡地方裁判所小倉支部平成11年(ワ)第187号地位確認等請求事件(本案事件)について、抗告人(本案事件原告)の平成12年9月8日付文書提出命令申立てを採用する。

二  抗告の理由

抗告の理由は、別紙即時抗告状及び同補充書(いずれも写し)に記載のとおりである。

三  当裁判所も、本案事件において受訴裁判所が文書提出命令の申立てを却下した決定に対して、弁論終結後にされた即時抗告は不適法であると判断する。

その理由は、原決定の「事実及び理由」の二に記載のとおりであるからこれを引用する(なお、東京高等裁判所昭和56年(ラ)第131号同年12月3日決定・下級裁判所民事裁判例集32巻9~12号1604頁参照)。

四  抗告人は、当審において、文書提出命令発令の必要性に加えて、原決定を批判して次のとおり主張する。

1  受訴裁判所は、抗告人(本案事件原告)が平成12年9月8日に文書提出命令の申立てをし、再三、採否決定を速やかに行うよう求めたにもかかわらず、その採否を留保し、平成12年11月7日の口頭弁論期日において弁論終結をする直前に文書提出命令の申立てを却下する決定(以下「本件却下決定」という。)をした。このため、抗告人は、本件却下決定に対して弁論終結前に即時抗告をすることができなかったものであって、弁論終結後に即時抗告をせざるを得なくなったことについては、受訴裁判所に責任がある。

2  また、弁論終結後であっても、弁論再開がされることもあるのであるから、本案事件において文書提出命令の対象となった文書が書証として提出される余地はある。

3  原決定は、文書提出命令申立ての採否については、控訴審において改めて判断を受ける機会があり、それで足りるから文書提出命令申立人にとって不利益はないと説示するが、控訴審とは別に第一審で十分な審理を受ける利益を抗告人は奪われることになって、その不利益は大である。

五  右1の点については、なるほど、本件において、抗告人は事実上、弁論終結前に本件却下決定に対する即時抗告をする機会がなかったものではあるが、その故に、書証の取調申出の方法として行われる文書提出命令の申立てを却下する本件却下決定に対して弁論終結後に即時抗告が許される理由になるということはできない。

また、右2の点については、現在、本案訴訟において弁論再開がなされていない以上、抽象的な弁論再開の可能性があることをもって本件却下決定に対する即時抗告が許される理由になるとはいえない。

そして、右3の点も、文書提出命令申立ての採否は、本案事件の審理を行っている受訴裁判所が必要性も含めて総合的に判断すべきものであるところ、結局、受訴裁判所の本件却下決定の当否は、その採用の必要性も含めて本案判決に対する控訴審で判断されるべきものであって、抗告人の主張するところも、本件却下決定に対して弁論終結後に即時抗告を許す理由になるとはいえない。

よって、抗告人の前記各主張はいずれも採用できない。

六  以上の次第で、本件却下決定に対して、弁論終結後にされた抗告人の即時抗告は不適法でその不備を是正することができないとした原決定は相当であって、本件抗告は理由がない。

よって、主文のとおり決定する。

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